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2023年5月ethereum.org日本語記事リリース情報③(標準&形式手法)




はじめに

当月も多数のethereum.org翻訳ボランティアの貢献により、多くの日本語記事がリリースされました。


今回の内容としては、イーサリアム標準(ERC: Ethereum Request for Comments)と形式手法となります。

イーサリアム標準により、ERC-20という規格が定められ、イーサリアムでネイティブの通貨であるETH(イーサ)だけではなく、昨今賑わせている様々な$PEPE$DOGEなどのミームコインや、ビットコインと等価な$BTC(ラップドビットコイン: wBTC)の交換が可能となりました。

また、依然人気のあるNFTですが、こちらはERC-721という規格で定められており、規格に従ったNFTならイーサで購入したり、他者に売ることができます。

形式手法ですが、厳密にスマートコントラクトをテストするのに欠かせない技術として注目されています。

実際に理解し扱うのは非常に難しいかもしれませんが、分かりやすくまとまっている記事なのでバグの少ないスマートコントラクト開発への第一歩になると思います。

是非、ご一読ください。


新しくリリースされた標準&形式手法の記事一覧

1. イーサリアム開発規格

イーサリアムコミュニティでは、(イーサリアムクライアントやウォレットなどの)各種プロジェクトにおける様々な実装間での相互運用性を維持し、スマートコントラクトやDappに対してコンポーザビリティを提供するために、多くの規格を定めています。

この記事は、その規格全般についての概要を述べています。


2. ERC-20トークン規格

ERC-20規格は、ステーブルコインなどで人気のあるUSDTやDAIなどの代替性トークンを扱うための標準規格です。

ひとつのトークンが、その種類および値において他のトークンとまったく同じであるというプロパティを持たせることができます。

例えば、ERC-20トークンはETHとまったく同様に動作します。つまり、1トークンは、現在および将来において常に、他のひとつのトークンと同等になります。

ERC-20トークンの共通仕様のが学べます。


3. ERC-721 非代替性トークン(NFT)規格



ERC-721は、NFTに対する標準規格です。

つまり、この種類のトークンはそれぞれがユニークな存在であり、発行日、希少性、および外見などの点で、同一のスマートコントラクトで発行される他のトークンとは異なる値を持つことができます。

この記事で、NFTが実際どのようにブロックチェーンに記録されているのかがわかります。


4. RC-777 トークン規格

ERC-777は、さまざまな手法の攻撃を受けやすいため、適切な実装が困難です。

このため、ERC-20を使用することをおすすめします。

歴史的なアーカイブとして残っています(内容は薄めです・・・)


5. ERC-1155 マルチトークン規格

この規格は、代替性か非代替性かを問わず、あらゆる種類のトークンを表現し、管理できるスマートコントラクトのインターフェイスを開発するというシンプルな発想に基づいて策定されたものです。

このため、ERC-1155規格に基づくトークンは、ERC-20およびERC-721トークンと同一の機能を提供し、この両方を同時に提供することすら可能です。

ERC-20とERC-721の両方の性質を持てる、良いとこどりのERC-1155の規格概要を知ることができます。


6. ERC-4626 トークン化ボールト規格

DeFiで注目の利回りボールトの標準規格です。

ERC-4626は、利回りボールトの技術的なパラメータを最適化し、統一します。

この規格では、ボールトに含まれる単一のERC-20トークンをどれだけ所有しているかを示すトークン化利回りボールトを作成するための標準APIを提供しています。



7. スマートコントラクトの形式的検証

形式的検証というのは、形式仕様記述に対してシステムの正しさを評価するための一連の作業のことです。

形式的検証によってシステムの挙動が求められている要件を満たしているかどうかを確かめることができます。

システム(この場合はスマートコントラクト)の期待される挙動は形式的な表現によって記述され、形式的プロパティは仕様記述言語で書かれます。

形式的検証の技法により、スマートコントラクトの実装が仕様に準拠していることを検証でき、さらにその実装の正しさの数学的証明を導くことができます。

この記事は、形式的検証ツールを利用する前提知識になると思います。



まとめ



以上、2023年5月にリリースされたドキュメントの一部を紹介しました。

今回は、イーサリアム標準と形式手法の記事をご紹介しました。

イーサリアム標準のおかげて構成可能性(コンポーザビリティ)が達成され相互に交換可能なトークンなどの独自通貨やNFTなどの一意の資産が誕生しました。

また、形式手法ではスマートコントラクト開発で重要となるバグの少ないプログラムの開発に非常に役立つ技術です。

当月も、数多くの翻訳ボランティアの協力もあり、様々な日本語ドキュメントがリリースされています。

次回は、イーサリアムに関するその他のさまざまな記事のリリース情報をご紹介します。

再度となりますが、今月新たに多くの(未翻訳の)記事が追加されています。

しかし、翻訳は一人の人間では作業量に限界があります・・・

ドキュメントを最新に保つには、多数の翻訳ボランティアの協力が必要です。

そのため、ethereum.orgでは、翻訳ボランティアを常に募集しています。

翻訳ボランティアに興味をお持ちのかたは、こちらを参考にしてください。

翻訳ボランティアへの参加、心よりお待ちしております。


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