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読書メモ:不動産ファンドの教科書




はじめに



一般的な人々において家やビルを所持することは、非常に高額なため簡単なことではありません。


そのことから、不動産を運用して利益を上げることができるのは、不動産デベロッパーか、お金持ちというのが現実ではないでしょうか。


しかし、日本では、2001年からJ-REITが上場し、一般的な人々でも小口から不動産投資による資産形成が容易になりました。

また、J-REITにより、換金しにくい「固定資産」である不動産が証券化され、「流動資産」として比較的容易に換金できるようになりました。

総合的に株よりリスクが低く、債券よりもリターンが大きいとも言われています。

今では身近になっているJ-REITなどの不動産ファンドですが、何も考えずに購入するのではなく、固定資産をどのように流動化するのか、そのビジネスとシステムを学ぶ必要があると思い、この本を購入しました。


この本について

信託銀行に勤め、不動産ファンド業務を最前線で行っている著者によって書かれています。

全体的に図を通して、不動産ファンドを取り巻く様々なアクターを明確に説明しており、非常に理解しやすくなっています。


事前知識が無くても大丈夫です。


しかし、不動産ファンドは、ファンドのバランスシートと不動産のテナント収益から成り立っています。

バランスシートをメインにして説明しているため、簿記の基本的な知識があれば、理解がはかどるかもしれません。

以下にて、前半・中盤・後半にわけて簡単にまとめます。


前半



前半は、不動産に投資しているのは誰かという、その中心的なスポンサーを学んでいきます。


中東などの政府系ファインド、生命保険会社、年金基金など人々のお金を預かっている世界的な金融機関が中心です。


そのような世界的な金融機関のポートフォリオが載っており、どのような割合で不動産に投資しているのかを参考にするこで、世界中を流れるお金の動きを読むことが重要であることが気付きでした。

ポートフォリオに不動産投資を一定の割合入れることによる、投資の分散効果についても触れています。

この辺においては、昨今の円安や金融不安にける物価変動において、資産を守るために大変重要な考えになると言えそうです。


中盤



不動産ファンドの仕組みについて学んでいきます。


不動産の収益構造として、テナント料などから発生する「インカムゲイン」と不動産自体の資産価値から得られる「キャピタルゲイン」があります。

簿価、時価、純収益、直接還元法、DCF法など会計的な算出手法を通して、どのように収益を算出するかを学べます。

また、より高価な不動産を少ない資金で調達するレバレッジについても学べます。


ファンドビジネスにおいて借入(デットファイナンス)を上手く使いこなすのかがいかに重要であるか身に沁みました。


中盤の最後の方では、ファンドのスキーム(方式)について触れています。


不動産ファンドには、複数のスキームがあります。

  • TK-GKスキーム・・・匿名組合(TK)と合同会社(GK)を組み合わせたスキーム

  • TMKスキーム・・・TMK(特定目的会社)を使ったスキーム

  • REITスキーム・・・上場投資信託(REIT)を使ったスキーム

  • 私募REITスキーム・・・非上場のREITを使ったスキーム



それぞれのスキームのメリット・デメリットが明確に触れられています。

純資産部分を投資口として販売するのが共通のようです。


後半

後半では、AM(アセットマネージメント会社)のビジネスモデルについての詳細を説明しています。


どのような不動産ファンドが必要とされているのか調査するマーケティング、不動産を調達するソーシング、価値を査定するデューデリジェンス、借入であるデットファイナンス、契約をまとめるドキュメンテーション、ファンドを販売するクロージング、ファンドの運用をするアフターサービスなどです。


また、AM(アセットマネージメント会社)が、収益の分配などの運用業務をどのように行っているのかがわかるため、この編はAMに就職したい就活生にも役立つ内容だと思いました。


最後にどのような種類の不動産があるのか、どのようなテナントや契約があるのか等、ビジネスや地理面およびロジスティクス面でも触れています。


最後まで読むと、お金の流れを意識した不動産の見え方という意味で洞察が得られます。



まとめ



細かくなるため、かなり大まかにまとめました。

重要なポイントとして、合同会社や投資法人など書面上の法人(ファンド)を作り、AM(アセットマネージメント会社)がそれを運用することでスケールしていることが分かりました。

投資商品として不動産ファンドを購入する投資家は、ファンドが持つ不動産から適切に収益が上がっているか、きちんとファンドが会社のように成長している(バランスシートが大きくなっているか)を注意する必要があります。

また、システムエンジニアとして、AMが不動産をどのようなシステムで管理しているのか、どのようなソフトウェアを使っているのか、IT的な面で非常に気になりました。

NISAやiDeCoなどの投資制度を国が推進しているため、REITなどの不動産ファンドの知識は、人生で長く役立つ知識だと思います。

皆さんにもぜひ学んでほしい内容です。

ここまで読んでくださりありがとうございました。


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